「時空旅行者の砂時計」 感想 ※ネタバレあり

ミステリ

ネタバレを含む記事です

本の内容をご存じない方、紹介ページを別に書いていますので、まずはそちらをお読みください。これから本作を読んでみようと思われる方は是非、本を読んでから見に来てください。
話だけ知りたいんだ!って方、その気持ちよく分かります。私の拙い文章でよろしければこの先に進んで下さい。この作品の面白さを伝えられたら幸いです。

 

 

これは世界の危機を救い、ハッピーエンドを迎える物語

ん?ただの推理小説で世界の危機って言い過ぎでは?と、本の紹介を読んだ方は思われるかもしれません。たしかに、主人公の加茂冬馬は妻・加茂伶奈(旧姓:竜泉)の命を救うため1960年代にタイムスリップし、竜泉一族の呪いのきっかけともなった連続殺人事件の犯人を突き止める。という内容で本紹介を行いましたし、本のあらすじを読んでみても世界規模の話は出ていないと思います。しかし、これはたしかに世界を救う物語であり、結末は感動的なハッピーエンドになっています。気持ちの良い終わり方をするおすすめの本です。 どんなトリックがあるのか・世界を救うってどういくことか順番に解説していきます。

殺人事件のトリック

詳細を書くとかなり長くなってしまうので簡単に書くと、第1の事件では2人の死体をバラバラにしそれぞれのパーツを入れ替えることで誰にも目撃されず、死体の移動を行なっていました。死体を別の誰かに誤認させるというトリックですね。
第2の事件では未来の知識を活かして、次に殺されるはずの人物を見張っていたにもかかわらず、別の人物が殺されてしまいました。ここで犯人は、被害者の行動を上手くコントロールし、自ら犯人の特定が困難な状況を作りださせ、不可能と思える殺人を実行しました。
ただし、ここで読者や主人公加茂はこう思います。「なぜ、殺人の順番がかわったのか?」と。
その理由については第3の殺人事件が大きく関わってくることになります。

もう一人?のタイムトラベラー

物語が進むと明らかになるのですが、加茂の持つ砂時計(名称ホラ 未来の天才が作り出したタイムマシンで高性能AIによる会話が可能)以外にももう一つの砂時計(名称カシオペイア)が存在していることがわかります。カシオペイアは竜泉一族を全滅させる為未来からやってきており、竜泉一族に恨みを抱く犯人と協力して事件を起こしていたのです。タイムトラベラー加茂の存在に気付いたカシオペイアは殺人の順番を変えたり、不可能犯罪を演出する事で計画通りに殺人を続けていたのでした。カシオペアこそが真犯人だったのです。
なんと、竜泉一族の呪いの正体もこのカシオペイアで、事故に見せかけてこれから先の未来でも一族を殺していきます。その恐怖に強いストレスを感じ加茂の妻は著しく体調を悪くしたのでした。つまり、加茂は犯人を突き止めるだけでなく、カシオペイアを破壊しなくてはいけない状況になってしまったのです。

最後の事件

最後の事件では唯一タイムトラベルがトリックに使用されました。最初の2件の殺人にタイムトラベルが使用されなかったのはカシオペイアの性格上、タイムトラベルという通常想定できない概念を用いた事件がフェアではなかったからです(カシオペイアもAIである以上設計の意図に逆らうことはできなかった模様)。しかし、最後の事件では加茂がカシオペイアの存在に気づき、タイムトラベルが犯罪に使用される可能性を考慮できるようになった為、このトリックが解禁されました。

実際には、犯人の持つ砂時計によって強制的にタイムトラベルが起こり、時間を誤認する事で犯行をおこなっていました。

犯人は?

雨宮広夜という人物でした。居候として滞在していましたが、実は血縁関係があり自分の家族を虐げられた恨みを晴らすため、カシオペイアと組んで事件を起こしていました。
加茂の推理により犯人が暴かれ、カシオペイアも破壊する事が出来ました。

世界を救う

この一連の事件が世界を救うことにつながりました。それはなぜか?そこには竜泉一族の末裔に生まれるある天才の研究が世界規模の異常気象を予測し、対策を行うという未来が関わっていました。竜泉の血が途絶えるという事は異常気象を予期できず、人類が滅亡する事に繋がるのです。カシオペイアはホラと共に作成されたAIタイムマシーンでしたが、互いの存在は知らずカシオペイアには歪んだ思想が入り込んでしまい、竜泉を狙う事になってしまいました。

今回の事件はカシオペイアとホラの時空を超えた戦いに加茂も犯人も巻き込まれていたのです。

ラスト

加茂は謎を解き、カシオペイアを破壊する事で呪いがなくなり妻・伶奈の命を救う事が出来る状況になりましたが、それは同時にタイムパラドックスが発生し妻と出会う未来がなくなる可能性があるという状況でもありました。自分の記憶が消えても妻の命と幸せを願った加茂はカシオペイアの破壊を選ぶのでした。

無事事件を解決して未来に戻った加茂にまっていたのは、過去にとんだ時と同じく病院の駐車場でした。伶奈との関わりがなくなり、病院に来ることなどないはずなのにこの場所に戻ってきた事で、未来が全く変わらず伶奈は結局重度の病で生死をさまよっているのではないかと不安になった加茂でしたが、病院にいたのは元気な伶奈と元の世界では流産した娘だったのです。戻った未来では伶奈と夫婦関係にあり、娘が生きている世界に代わっていたのです。

最後は砂時計型AIタイムマシーン「ホラ」を別の誰かに譲渡し、物語は幕を閉じます。

感想

特殊設定×クローズドサークル かなり面白かったです。
いろいろと伏線を敷いたところに、いきなり犯人もタイムトラベルできる!なんて新情報が入ってきて大丈夫か?と思いましたが、タイムトラベルのルールがしっかりとしているため、破綻なくよーく考えると犯人に辿り着くことが可能だと思います。(私には無理でしたが、、)

ワトソン役として登場の竜泉文香13歳も相当に賢く、かなり鋭い推理を披露します。雨宮の復讐の原因となった漱次郎や月彦は小悪党感が出ててよい感じでした。

実はこの作品は3部作の1作目です。このあと、孤島の来訪者、名探偵に甘美なる死を、と続きます。今作を読んでいなくても次作は楽しめるので、気になった方読んでみてください。
今後ともよろしくお願いします。

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